これが、あたしの彼氏です。【完】


その日も差ほどいつもと変わりない一日だったけれど、それでも別に目立った事もこれと言った事もなかったからあたしは気持ちを落ち着かせて授業に育んだ。


その日の昼休みのこと。


「ふははははっ、馬鹿じゃねぇの、シン」

「……うるせぇな」

不意に聞き慣れた声が、あたしの耳に入ってきた。


「あ、ねぇ。見て!矢沢君と蒼稀君だよっ」

「ホントだー。やっぱりかっこいいー」

「あの二人が一緒に居ると、周りがキラキラして見えるよねぇ」


そんなクラスメイトの黄色い声を耳にしつつ、あたしも恐る恐る矢沢君の方に顔を向けると、

「…あ、矢沢君こっち見たよっ」

「うわあ、どうしよう」

いきなりこっちに目を向けた矢沢君と、バチっと視線が重なってしまった。

「………っ!」

あたしはどうすればいいのか分からず、瞬時にパッと矢沢君から目を逸らしてしまう。
その後、顔を下へ俯けていると矢沢君の隣で喋り続けていた蒼稀君の声も、だんだん遠ざかって行くのが分かり、心の奥底でホッと胸を撫で下ろした。
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