これが、あたしの彼氏です。【完】
「うっ、大丈夫……、だよ…?」
―――どうしてこんなに、涙が溢れてしまいそうになっているんだろう。
「泣けよ」
「……な、やだよっ」
「俺が、ちゃんと受け止めてやるから」
「……っ!」
矢沢君の言葉があまりにも真っ直ぐで、あたしはつい今まで堪えていた涙が一気にぶわっと溢れ出してしまった。
「……うっぅ、本当はずっと怖くて、あのギャル達に声を掛けられる度、ずっと震えてたの…っ」
「ああ」
「……毎日辛くて、苦しくて。……嫌がらせだっていっぱい受けたし、リンチみたいな事だってされた…っ」
「…………」
「でも、それでも、矢沢君が悪いだなんて、そんな事本気で思った事一度もなくて…っ、周りの視線や言葉は痛かったけど、それでも、矢沢君の所為だなんて思った事は一度もなかったよ…っ」
「…………」
「ただ毎日が辛くて、耐えられなくて。だから…ついこの前は矢沢君に心でもない事言っちゃったの…!ごめんなさい…!あたし、怖くて……―――」
「もう良いから、分かったから。……黙れ」
「……っ!、や、ざわ、君……」
あたしが泣きながら声を荒げていると、不意にふわっと矢沢君の香水の香りが鼻を掠め、気付いた時にはもう、矢沢君の腕の中に閉じ込められていた。