これが、あたしの彼氏です。【完】
ドクンドクンドクンと、物凄いスピードで心臓が跳ね上がる。
矢沢君の腕の中でどんどん体温も高くなり、仕舞いには顔の温度も一気に上昇してしまう。
「………」
「………」
あたしが小さく首を動かして、真上にいる矢沢君にそっと顔を向けると、
「……!」
不覚にも何とも言えないタイミングで、真上の矢沢君と視線がパチッと重なってしまった。
「………っ」
でも、そんな矢沢君の瞳からあたしは何故か目が離せなくなって、仕舞いにはかすかに揺れている矢沢君の瞳に、サラリと吸い込まれてしまいそうになった。
「――――心、」
「……え?」
すると何故か不意に小さな声で名前を呼ばれて、何かななんて思っていると、――――――いきなり矢沢君の顔が、あたしの鼻先までゆっくりと近づいて来たのだ。
「…う、うわあああっ」
あたしはそんな矢沢君の顔を両手でバっと押さえると、矢沢君は一瞬不満そうな顔をする。
「……な、何して…っ」
「何って、今のはどう見てもキスする雰囲気だっただろうが」
「キ、キス!?」
真顔でそう言う矢沢君に、あたしはボッと顔の温度が急上昇してしまう。