これが、あたしの彼氏です。【完】
――――――ピンポーン、
それからの数時間後、あたしは不意に鳴り響いたインターホンの音で、うっすらと目を覚ます。
「……んー…?」
こんな時に誰だろうなんて思いながらあたしはゆっくりと起き上がり、おぼつかない足で一階に繋がる階段をフラフラと下って行く。
そのまま玄関の前まで辿り着き、覗き穴からインターホンを鳴らした人物をそっと確認すると―――、
「………えっ」
覗き穴から見えた意外な人物に、あたしは一瞬戸惑ってしまった。
「……、え、矢沢君…?」
ポツリとそれだけ呟いて、あたしは確かに見えた矢沢君の姿にそっと玄関の扉を開けた。
「………お前、マジで死にかけてるな」
「………なっ、余計な御世話だよ…」
「取り合えず、お前しんどそうだから上がるぞ」
「え、あ…、ちょ!」
淡々とそう言った矢沢君は、いきなりあたしの家の中へとズカズカと足を進めて入って来た。