これが、あたしの彼氏です。【完】
誰も上がって良いなんて言ってないんですが。とそんな事を思いつつも、あたしはいきなりやってきた矢沢君にチラリと視線を向ける。
「……ど、どうして来たの…?」
「あ?お前が死にかけてるって言ったからに決まってるだろうが」
「……え。それ、冗談だったのに」
「ああ、だろうな。でもしんどいんだろ?」
「え、うん…」
「だから来た」
「…………」
淡々とそう吐き捨てる矢沢君は「起こして悪かったな」とそれだけ呟いて、不意にあたしの頭をポンポンと優しく撫でて来た。
「………っ」
あたしはそんな矢沢君の行動に、心臓が一瞬ドクンと跳ね上がる。