これが、あたしの彼氏です。【完】
「心ちゃん、おはよ!」
「あ、蒼稀君おはよっ」
あたしがいじめられていた時に心配して声を掛けてくれた蒼稀君に、あたしも満面の笑顔でニッコリと挨拶を交わした。あの日以来、蒼稀君に対する印象が大きく変わった。
「………お前、俺の前ではあんま笑わねぇのに、蒼稀の前ではそんな顔して笑うんだな」
「え…っ」
「あれぇ?シンってばヤキモチ焼いてるの?」
「……てめぇはいちいちつっかかるんじゃねぇよ」
その後、蒼稀君も一緒に登校する事になった。
当のあたしはさっきまで言い掛けていた言葉を蒼稀君に遮られてしまったけれど、でもあのまま言うのも少し怖かったし、もう少し心の準備が出来てから勇気を振り絞って矢沢君に問いかけようと決めた。
「心ちゃん、コイツあんまり思った事口にしないでしょ?」
「え?…うん、まあ…」
「蒼稀てめぇ余計な事言ってんじゃねぇよ。お前もそこでさり気無く肯定すんな」
そう言った矢沢君はまるで不機嫌極まりなさそうな顔で、眉間にギュッと皺を寄せた。