これが、あたしの彼氏です。【完】
それからは矢沢君と蒼稀君がワアワアと言い合いながらも楽しそうに話していて、あたしはそんな二人のやり取りにこっそりと耳を傾けていた。
何と言うべきか、矢沢君と蒼稀君は仲が良い友達って言うより仲が良い兄弟って感じがする。
あたしはそんな微笑ましい二人に「ふっ」と笑みを零して、予鈴ギリギリの時間に学校へ到着した。
教室へ行くと由希が「おはよう」と声を掛けて来てくれて、今日もいつもと変わらない日々を過ごした。
一時間目から4時間目までは基本の5教科とも言える最悪な時間割で、あたしはそんな授業に項垂れながらも、ひたすらノートに文字を書き連ねていた。
その後、あっという間にチャイムが鳴り響いて昼休みを迎える。
「……げっ」
「ん?何何ー?どうしたの?矢沢君からメール?」
あたしが携帯を確認して眉間に皺を寄せていると、スタスタとこっちへやって来た由希がズイっとあたしの携帯画面を覗いた。
あたしはそんな由希の言葉に「ああ…、うん、矢沢君から」と少し低めに返す。