これが、あたしの彼氏です。【完】
「今から屋上来い。だって!矢沢君意外と可愛いねぇ。行ってらっしゃい」
「か、かわ!?……いや、でも今日は由希と…」
「良いのよ、あたしは。行かなかったらまた矢沢君に何か言われるんじゃないの?」
「え、まあ…そうだと思うけど」
「うん。じゃあ仕方ないよね。あたしは部活の子と一緒に食べるからー」
「え、ちょっ、由希!」
由希はそれだけ言うと、不意にお弁当とお茶だけを持ってさっさとこの教室を出て行ってしまった。
「………」
一瞬にして一緒に食べる人が居なくなってしまったあたしは、渋々矢沢君からのメール通りに屋上へと足を向けた。
トボトボと最上階まで上がり、ガチャリと屋上の戸を開けると、
「遅ぇ」
不意に低い声でそれだけ吐き捨てる矢沢君と、必然的に視線がパチっと重なってしまった。