これが、あたしの彼氏です。【完】
「おら地味女。着いたぞ」
「………え?」
怒られるのを覚悟で矢沢君の後ろに付いて行くと、そこには予想外な光景が目の前に広がっていた。
「えっと…何、ここ…」
「見て分からねぇのか。服屋だ。……さっさとそのだせぇ服着替えて来い」
「……えっ、あの、あたし、こういう大人っぽい服とか着た事ないし、お金なんて全然持って来てないし…」
「金なら俺が出す。お前に似合う服ならある」
「……え?それってどういう……」
私が矢沢君の言葉に首を傾げていると、矢沢君は不意に奥に居た店員さんに「おい」と声を掛けた。
「―――此処でコイツに一番似合う服選んでやってくれ」
「はい。かしこまりました。」
矢沢君の言葉に「えっ!?」なんて驚いていると、ニッコリと微笑んだ店員さんに「こちらへどうぞ」と案内され、店内の奥へと通された。
「そのみっともねえ服どうにかしてこい」
「……」
(どうしよう。こんなことして貰う為に手抜きの服装着て来たわけじゃないのに)