これが、あたしの彼氏です。【完】


何だか物凄く矢沢君に申し訳ないことをしてしまった気がして、初めて矢沢君に対して罪悪感というものを感じた。


「……ごめんね。…ありがとう」

「あ?ああ。別に」

店員さんに最後「楽しんで来て下さいね」と笑顔でそう言われ、あたしはそれに小さく会釈を返しながらその店を後にした。


「あの、矢沢君…これから、何処に行くの?」

「俺の好きなとこ」

「え。……そう、なんだ」



その後、あたしと矢沢君は無事電車に乗り込んでそこから4つ先にあるとある駅を目指した。何処に行くのかも全く分からないまま、ただひたすら矢沢君の後ろへ付いて行く。
それから、服屋さんを後にして40分くらいが経った辺りだろうか。
矢沢君が言っていた「俺の好きなとこ」の正体が、なんとなく掴めてきたような感じがした。


「おら。お前の所為で混んでんだろうが」

「え、何であたし…」

「お前がだせぇ服なんか着て来るからだろ」

「………うっ」
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