これが、あたしの彼氏です。【完】
色んなペンギンを目で追っているうちに一つだけ、ついつい面白いものを発見してしまった。
「……あ、矢沢君……」
「あ?」
「あれ。や、矢沢君にそっくり…」
「あぁ?」
あたしがスッと指を差すと矢沢君もそっちの方向へと目を向ける。それを見た矢沢君があからさまに嫌そうな顔をして、眉間にギュッと皺を寄せた。
「…俺はあんな尖った顔してねぇ」
「あ、えっと、そうじゃなくて。…無愛想でいつも不機嫌みたいなところ……とか」
「死にてぇのかテメェ」
「……ご、ごめんなさい」
その後、ペンギンを見終わった後は何故か成り行きでイルカショーを見る事になって、隣の矢沢君はまたしてもジンベイザメの時と同じ様に、喧嘩売ってるの?と言いたいくらいの形相をしながらジーっとひたすら芸を披露するイルカに見入っていた。
あたしはそんな矢沢君にチラリと視線を向けつつも、久々のイルカショーをめいいっぱいに楽しんだ。
「おい。昼飯食いに行くぞ」
イルカショーが丁度幕を閉じた頃、腕時計の長針が13時過ぎを差していることに気が付いた。さすがにお腹が空いてきたあたし達は水族館の最上階にレストランがあるというので、そこで一旦昼食を摂ることにした。