これが、あたしの彼氏です。【完】
「心、今週の土曜日空いてる?」
「え?えーっと、うん。予定は入ってないけど」
「ホント!?あー、良かった!絶対喜ぶよ!」
「…喜ぶって、何が?」
少し声のトーンを下げて問いかけるあたしに由希は二カっと笑って、「実はね!」と嬉しそうに声を上げた。
「あの久瀬先輩と、遊んでみたいと思わない?」
「………えっ!?」
突然思ってもみなかったことをサラリと言われ、一瞬頭が混乱する。
「ね、凄いでしょー!もっと喜んでも良いよ?」
「……え、ちょっ、な、どうして!?何で…」
「心忘れたのー?あたし、サッカー部のマネージャーなんだよ?久瀬先輩、サッカー部のキャプテンじゃない」
「いや、忘れてたわけじゃないけど。…え、久瀬先輩と直接話したの?」
「ううん。話してない。久瀬先輩の友達とあたしが友達なの。それで今度一緒に遊ぼうかって話になって、久瀬先輩のお友達にあたしがお願いしたのよ。久瀬先輩も一緒に遊ぶ事出来ますかって」
「……よくそんな事…」
「そしたら案外上手く行っちゃって。久瀬先輩、承諾してくれたらしいの。あ、もちろんあたしの友達も一人連れて来ますって言ってあるから」