これが、あたしの彼氏です。【完】
常々、由希は怖いもの知らずだと思う。名前が知られているほどの人気の久瀬先輩を遊びに誘うだなんて…あたしには到底真似出来ない難易度だ。由希のこういうところが毎回羨ましかったりする。
「行く?行くでしょ?久瀬先輩だもんね」
「い、行きたい。……久瀬先輩と遊べるなんて絶対あり得ない事だし…」
「良し来た!じゃあお友達の秀斗先輩に連絡しなくっちゃ。良かったー、無理だったらどうしようかと思った」
「由希、それってあたしの為に、久瀬先輩呼んでくれたの…?」
「何言ってんの?当たり前じゃない!あたしは久瀬先輩が居なくても別に良いし。秀斗先輩に誘われた時、偶然にもパッと思いついたの」
「そ、そっか。ありがとう」
「良いって良いって!これで他の女と一気に差を付けちゃいなよ!」
笑ってそんなことを言う由希は何度もあたしの肩をバンバン叩いて、「頑張ろうね」って何度もエールをくれた。あたしは久瀬先輩と近づけるチャンスをくれた由希に、感謝の気持ちが止まらなかった。