これが、あたしの彼氏です。【完】
その後、お腹ペコペコだったあたしは屋上に着くなり自分のお弁当を広げ黙々とたいらげる。矢沢君も相当お腹が空いていたのか、購買で買って来ていたらしいたまごのサンドウィッチとおにぎりを同時に開けて交互に食べていた。食のバランスはこの際皆無なんだろうか。
「……あ、矢沢君」
「何」
「メールの内容って、何だったの?」
「それくらい自分で確認しろ」
「……くっ、わかりました」
そう言う矢沢君に相変わらずカチンと来つつも、あたしは電源を落としていた携帯を立ち上げ受信ボックスを確認した。
「………。矢沢君」
「あ?」
「あの、何か勘違いしているようだけど、あたしは矢沢君のパシリじゃありません」
「そんな事知ってる」
「じゃあこういうメール、送らないでくれるかな…!」
あたしはそう言って、画面に表示されたメールの内容を矢沢君の目の前に突き出した。
「頼んだだけだろ」
「だけ?!いや、これ、どう見てもパシリ扱いだよね」
あたしの携帯画面には「メロンパンと焼きそばパンとコーヒー買って来い。それから先に屋上行ってろ」と言う前回にも見た事があるような内容が表示されていた。
この文面は明らかにパシリなんじゃないだろうか。それとも不良の間ではこういうやり取りが普通なのだろうか。
「仕方ねぇだろ。…うぜぇ教師のクソ話に一時間以上付き合わされてたんだ」
「あ、それってつまり説教…」
「黙れ。俺が昼飯抜きなんて有り得ない」
「……。」
何という俺様発言。だからと言ってあたしに頼むのはお門違いなんじゃないだろうか。