これが、あたしの彼氏です。【完】
(え。何?今、この目の前の彼は、なんと言った…?)
あたしの聞き間違いでなければ、この不良少年は私に、つ、つつつつ、付き合え、と――、
「あ、えっと…」
「お前、一つ上の久瀬(クゼ)先輩が好きなんだってな」
「へっ!?ど、どどどどうして、それを…」
「調べた」
「…………」
(な、何だって――――――?)
あまりの急展開に頭が回らず、パニック状態だった先程までの脳内はもっと混乱する羽目になる。
「お前、凄い神経してんだな。あんな奴の何処がそんなに良いのかサッパリ分からねえ」
「……。…あ、貴方に、そんな事言われたくありません……」
「…あ?」
しまった、と思った時にはもう遅かった。あたしが片想いをしている先輩のことを悪く言われたのが少しカチンと来て、つい反論するようなことを言ってしまった。目の前の不良少年の顔が怖くて見れない。
「……え、えっと、あの…」
「……ふーん、良い度胸してんじゃねぇか、お前」
「……え、あの――――」
「面白ぇ。――――決まりだな」
目の前の彼は小さくそう呟くと、不敵にニヤリとした笑みをうっすらとあたしに浮かべた。