これが、あたしの彼氏です。【完】
「こーころ。あんたが昼休み居ない間に今週の土曜日の事結構決まったよー」
「え、ホント?ごめん!」
あたしが教室に戻ると、自分の席で携帯を弄っていた由希がこっちへ向かって来るなり嬉しそうにそう言った。
「良いって。あのね、カラオケ行く事になったんだけど心平気?ほら心って騒がしいとことか嫌いでしょ?」
「あ、うん。そうだけど…大丈夫。それにもう決まったんでしょ?カラオケって言っても、そこまで騒がしくならないだろうし」
「そう?10時に桜町駅の時計台前集合だって。一緒に行こうね」
「うん。何だか緊張してきたよ」
―――その後。6時間目の授業もあっという間に終わり、あたしは約束していた通り校門前で待っていた矢沢君と一緒に帰路に付いた。
そして並んで歩く帰り道、相変わらず素っ気ない態度をとって来る矢沢君にあたしはほんの少しだけホッとして、いつもと変わらない様子の矢沢君にそっと胸を撫で下ろした。
不意にどうしてあたし矢沢君の心配なんてしちゃってるんだろうなんて思いつつも、あたしが降りる駅で矢沢君とは別れて、今日の長い一日がゆっくりと過ぎて行った。