これが、あたしの彼氏です。【完】
「ほんとに?よかった。じゃあ、約束ね」
「え、…わっ」
ふわりと笑みを零した久瀬先輩は、いきなりあたしの頭上に手を置いてポンポンと頭を撫でて来た。
あたしはその久瀬先輩の行動に一気に顔の温度が上昇し、湯気が出てしまいそうになる。
頭の上に置かれたこの久瀬先輩の温かい手に、横からでも分かる優しい表情に、この距離感に―――全てに、胸がドクンと高鳴った。
「……く、久瀬先パ……―――」
あたしがそっと、久瀬先輩と目を合わせようと顔を上げると――――、
「あ、あれ?……あれって、確か…、同じ学校の…」
不意にそう言った速水先輩の言葉が、何故かあたしの背筋を震わせて、嫌な予感が一気に体中を駆け抜けた。
「ああ、そうだ。――――矢沢だ」
「………っ、」
少しトーンを下げたような声で零した速水先輩の言葉に、あたしは思わず息をゴクリと呑み込んだ。