これが、あたしの彼氏です。【完】
読めない彼の心中
――――ピピピピピっ
カーテンの隙間からうっすらと光が差し込むと、それと同時に枕元に置いておいた目覚まし時計が部屋中にうるさく響いた。
久瀬先輩たちと遊んだ週末からあっという間に時間は過ぎ、翌週の月曜日を迎えた。
「んー…学校、」
寝惚けた頭でそんな独り言を呟きながら重い体をのっそりと起こし上げ、枕元に置いてあった携帯に手を伸ばし時間を確認する。
「…6時半か」
いつも通りの時刻に目が覚めたことにホッとしつつ、まずは顔を洗うためトボトボとした歩調で一階に繋がる階段を下った。そこから朝ごはんを食べ、生まれつき癖毛な自分の髪を整えて制服に着替えれば、学校へ行く準備は終わりだ。
「じゃあ、いってきまーす…」
「はい、いってらっしゃい」
お母さんに元気よく見送られ、あたしは渋々学校へと向かった。自転車で最寄り駅まで着くと、いつも待ち合わせをしている由希が「おはよー」と声を掛けて来た。
「由希、おはよう」
「おはよ。心、今日来ないかと思ったよ」
「ああ、うん。ちょっと鬱だけどね」
「…あ。あの後、矢沢君から連絡あった?」
「いや、全然。何もない」
あのあと、久瀬先輩と遊んだ日に矢沢君と鉢合わせてしまったあの日。家に帰ってからも、矢沢君から連絡が来る事は一切なかった。