これが、あたしの彼氏です。【完】
「や、矢沢君」
「あ?お前今日よく喋るな」
「え?そう?ごめん」
「謝れとは言ってない」
「あ、ごめ…じゃなかった。…あのね」
「何」
あたしは段々と小声になりながらもそう言うと大きく息を吸い込んだ。そして気にかかっていた事を思い切って口に出してみる。
「あの、偶然会った土曜日の事なんだけど…」
「………」
聞こえているのか聞こえていないのか分からないような声でそう言うと、あたしを見つめる矢沢君の眉間にギュッと皺が寄った。
「……それが何」
「そ、それが何って…、矢沢君、怒ってないの…?」
「なんで」
「……えっ?」
あたしが問いかけたと言うのに、疑問に疑問で返されてしまった。どういうことだろう。ますます理解が出来なくなってきた。