これが、あたしの彼氏です。【完】
心の中は闇の中
少し歩くだけで、うっすらと汗をかく季節になった。
最近はずっと雨が続いて、一週間くらい前に梅雨入りが発表されたと夕方のニュースで知った。
今日もポツポツと降る雨に、傘を差して学校へ向かう。雨の日は憂鬱だとか言うけれど、あたしはそこまで雨が嫌いじゃない。むしろ雨の匂いとか結構好きな方だったりする。
そんな事を考えながら今日も由希と一緒に学校へ向かって、何も変わらない一日を過ごした。唯一矢沢君と接するのは昼休みと放課後だけで、後はおそらく自分のクラスで熟睡しているんだと思う。頭も悪そうなのに、そんなんで大丈夫なんだろうかって思ってしまうのがひそかに本音だ。
その日の放課後、今日も矢沢君があたしのクラスに来て「帰るぞ」とそれだけ声を掛けて来た。あたしはそれに短く返事をして、腰を上げる。
由希はサッカー部のマネージャーをしているから当然一緒に帰れない。だからと言って一人で帰るのも何だか心細いから、今では矢沢君と一緒に帰るのが日課になっている。
別に楽しくないわけではないし、あたしからじゃなく矢沢君の方から誘って来てくれるから、気持ち的にも楽と言えば楽なのだ。