これが、あたしの彼氏です。【完】


「ん、」

「早く起きろ」

「……もうあたしが降りる駅?」

「違う。とっくに過ぎた」

「………えっ!?それどういう事!?」

いきなりそんな事を言う矢沢君にあたしは一瞬にして目が覚めて、勢いよく体を起こし上げた。


「………お前が寝過ごしてどうする、馬鹿が」

「だ、え、嘘…じゃあ、今何処?」

「もうすぐ俺が降りる駅」

「……………」


久瀬先輩が夢に出て来てくれたからとは言え、どれだけ夢の中へ入り込んでしまっていたんだろう。電車の中で流れている電光掲示板を見ると、地元の駅から4駅も乗り過ごしていた。


「仕方ねぇから、お前も俺の駅で降りろ」

「…うん、」

どうしようもない奴だな、みたいな表情であたしを見る矢沢君と、次に止まる駅であたしも渋々電車を降りることとなった。
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