これが、あたしの彼氏です。【完】



「…あ、あの、矢沢君。非常に申し訳ないのだけれど、あたし帰るお金がない」

「は?」

「さっきの改札口で、その、」

「……てめぇ、ふざけんなよ」

「すみません…」

駅を一旦出た後にさっき使った改札口のお金で残額100円になってしまったのを思い出し、何も考えずに改札口を出てしまった自分を本気で馬鹿だと思った。


「……貸してやる。ちょっと待ってろ」

「…ごめんなさい」

そう言う矢沢君は、後ろポケットに入っていた長財布をスッと取り出すとお金を確認し出した。その後、何故か矢沢君の手がピタリと止まって、あたしをじっと見つめてくる。


「……矢沢君?」

「お前、何円必要なんだ」

「えっとー、400円くらいかな…」

「はあ?足りねぇよ、馬鹿が」

「え!?」
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