これが、あたしの彼氏です。【完】


あたしはドキドキしながらも恐る恐る部屋の扉を開けると――、

「え?」

―――何故か矢沢君の部屋は、多くの段ボールで埋め尽くされていた。

他には机とベッドと真中の小さなテーブルだけが配置されてあって、他は何も見当たらない。まるで殺風景とも言えるような寂しい部屋だった。

「………」

あたしはこのダンボールの数をちょっと疑問に思いながらも、小さなテーブルの前にストンと腰を下ろした。
その後もグルリと矢沢君の部屋を見渡していると、不意にガチャリと部屋の扉が開いた。


「あ、矢沢く…」

「ほらお茶」

「あ、ありがとう…」

矢沢君もあたしの目の前に腰掛けると、自分が運んで来たお茶をゴクンと一気に飲み干した。

「あ、お茶までわざわざごめんね。…すぐ帰るし、別に良かったのに」

「あ?電車ならあと30分は来ないぞ」

「えぇっ!?」

「だから、茶でも飲んでくつろいでろ」

「え、…うん。分かった」


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