ユーダリル
ガチャン!
次の瞬間、手に持っていた食器を全て床に落としてしまう。ユフィールは慌ててしゃがみ込むと、破片を拾っていく。すると、床に影が落ちた。そう、ウィルが一緒に破片を拾ってくれたのだ。
「急いで拾うと、指を切るよ」
「は、はい」
「あっ! 言っている側から」
そう言うと、ウィルはユフィールの手を取る。言葉で言った通り、人差し指が血で滲んでいた。特に、痛みというのはない。しかし確かに、指先に血が滲んでいる。ウィルは立ち上がると隣の部屋へ行き、治療用の道具が入った箱を持っていた。そして、手当てをはじめた。
「じ、自分で」
「いいよ。これくらい」
「大変じゃないでしょうか」
「いや、慣れている。ほら仕事の関係上、結構生傷が多かったりするからね。必然的に、手当ては慣れてくるよ」
「ご無理は、しないで下さい」
「有難う。はい。終わり」
包帯を軽く縛ると、ポンっと指を叩く。その合図にユフィールは御礼を言うと、散らばっている破片を片付けていく。一方のウィルは箱を片付けると、紙袋を持ってくる。どうやら、これに入れて片付けようということだ。それを理解したユフィールは、せっせと破片を入れていく。
全ての破片を入れ終わると、ゴミ箱へ捨ててしまう。その後、綺麗に箒で掃除をしていく。
綺麗に破片を拾った。だが、油断していると足に突き刺さってしまうので、掃除は丁寧に行われた。
「これでいいかな」
「はい。大丈夫です」
「じゃあ、割れた食器も買いに行こう」
「す、すみません」
「気にしなくていいよ。ユフィールが、大怪我しなかっただけでも良かったし。で、食器も揃えないと」
「えっ!?」
まさにそれは、衝撃的な台詞だった。食器を揃える――ということは、お揃いということだ。ユフィールは、反射的に頭を振ってしまう。それを見たウィルは、何か悪いことを言ったのか尋ねる。