ユーダリル

 また、セシリアやメイド達が頑張っている。特にメイド達が暴走するが、一応協力してくれる。最大の難点は、アルンの存在。最近、ディオンの扱い方が簡単になってきているからだ。

 所詮、ディオンは普通の生き物。ユフィールが出す食べ物を当初は嫌がっていたが、近頃では普通に食するようになってきている。お陰で、ユフィールの言うことを聞くようになってきた。

 言葉に出して、そのことを明確に表現することはなかった。しかし彼自身、ディオンの存在に頭を悩ましていた。今まで運良くユフィールに危害が行ったという話は聞かないが、いつかは――という気持ちを持っていた。その為、ディオンの行動に注意しないといけない。

 それにより目的地へ向かう途中、ウィルはユフィールに質問を投げ掛けていた。無論、唐突に。

「質問いい?」

「はい」

「ディオンは、元気?」

「毎日、元気です。食欲は、旺盛だったりします。気温に関係なく、大量に食べてくれます」

「そうか」

「それが、どうしたのですか?」

「いや、ちょっと……」

「何かありましたら、協力いたします」

「有難う」

 ディオンは、巨大な生き物。それに比例して、大量の食事を摂取しないといけない。よって一回の食事の量が少なくしてしまえば、嫌でも服従の意思を示す。ウィルは、それを行おうと考えていた。

 ウィルは、ディオンを大切にしている。しているが、ユフィールにディオンによって怪我を負うのは見ていられない。そうなると、事件の大本になると予想されているディオンを何とかしないといけない。ウィルは違う目的地へ向かう途中、脳味噌を動かし計画を練る。

「実行だ!」

「何をでしょうか」

「ディオン改造計画だよ」

「えっ!?」

「やるよ!」

 とんでもないことを口にするウィルに、ユフィールは目を丸くして固まってしまう。そもそも、ディオン改造計画というのはどういうものか。
< 163 / 359 >

この作品をシェア

pagetop