ユーダリル

 それ自体、ユフィールはわかっていない。首を傾げ、その計画がどのような内容なのか尋ねる。そして語られた内容に、唖然となった。

 それは、ディオン日干し作戦。

 そう、言葉の通り食事抜きにするのだ。

 ウィルの計画に、ユフィールは間髪いれずに否定の言葉を発する。それを行ったら、あまりにも可哀想だからだ。しかしウィルは、その計画を実行しようと強い口調で言い続ける。

「宜しいのですか?」

「何が」

「ディオンは、ウィル様の相棒です」

「だからだよ」

「意味がわかりません」

「ユフィールが、安全に生活する為」

 真顔でそのように言うウィルに、ユフィールの顔面は真っ赤に紅潮してしまう。てっきり、ウィルの悪ふざけだと思っていたが、そのような意味が隠されていたとは。ユフィールは、次の言葉が見付からない。そして俯き、ウィルの顔を見ることができなくなってしまう。

「で、どうかな?」

「……お任せします」

「じゃあ、遂行だ」

 ウィルは拳を作ると、天高く突き上げる。

 この瞬間、ディオン日干し計画が決まった。

 ウィルとユフィールは、互いに付き合っている。当初は、ユフィールのことをあまり考えないウィルであったが、近頃は彼女を中心に物事を考えるようになってきている。それが、この計画だ。

 本当に大丈夫か。

 ユフィールは内心、心配であった。

 だが、相手はウィル。それにやる気満々の姿を間近で見ていると、やはり何も言えなかった。

 そして、計画遂行の為の道具を探しに行く。




 次に向かった店――

 其処は、雑貨屋だった。

 ウィルが探しているのは、丈夫な縄。そう、ディオンの身体を縛り付ける為に用いるのだ。
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