ユーダリル

 食事抜きでの日干し状態。理性がぶっ飛び、暴れる可能性が高い。それを押え付けるには、縄で縛ってしまうのが一番の方法だった。

 その為、ウィルは真剣な目付きで縄を選ぶ。

 その横で、ユフィールは立ち尽くしている。決して、口を挟むわけにはいかない。それは、ウィルが発しているオーラに完全に戦き、負けてしまっているからだ。それにより、静かに待つ。

 ウィルが、ユフィールの小指サイズの縄を徐に手に取る。そして何を思ったのか、グルグルとユフィールの身体を巻いていく。突然の行動に、目を丸くしてしまうが言葉が出ない。

 その間も、ウィルはグルグルと巻いていく。その後、ユフィールの腰の部分で力いっぱい結んだ。

「きつい?」

「は、はい」

「痛い?」

「だ、大丈夫です」

「じゃあ、これは」

「ウ、ウィル様!」

 自分の身体で確かめていないので、手加減がわからない。その為、ついつい力が入ってしまう。その影響で、ユフィールが苦しく呻いた。そして、徐々に顔色が悪くなってしまう。

「ユ、ユフィール」

「……苦しいです」

「ああ、解く」

 慌てて縄を解くと、ユフィールの顔を覗き込む。今までの出来事が相当身体にダメージを与えていたのか、肩で何度も呼吸を繰り返している。しかしユフィールは、ウィルを責めなかった。

「ご、御免」

「流石に、これ以上は……」

「丈夫さは、証明したよ」

「そ、そうですか」

 その言葉を聞いたユフィールは大きく息を吐くと、ホッと胸を撫で下ろした。流石に、二度も縄で縛られたくない。それにウィルは、手加減をしてくれない。下手したら、骨が軋む。

 彼女の意見として、早く縄を選んで欲しかった。これ以上の人体実験は、確実に身体に影響を出す。するとユフィールの気持ちが相手に伝わったのか、ウィルが一本の縄を選びだし、会計へと向かった。
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