ユーダリル

 しかし、巨大な身体。いくら水を大量に飲んでも、空腹が満たされることは無い。ウィルは、ディオンを本当に愛しているのか――疑問に思ったユフィールは、質問を投げ掛ける。

 唐突の質問にウィルは驚くが、ユフィールからの質問。回答しないわけにはいかなかった。それにより、頬を掻き答えていく。

 その間、ユフィールの表情は悪い。

「好きだよ」

「それでしたら……」

「駄目だよ」

「なら、いいです」

「ユ、ユフィール?」

「助けに行きます」

 そう言うとユフィールは台所へ向かい、ゴソゴソと何かを探しはじめた。それはパンにチーズに、日干しの果物に野菜。ユフィールはそれらを籠に詰めると、勝手口から外へ出て行ってしまう。

 その行動に驚いたウィルはユフィールの後を追うが、不機嫌たっぷりの表情を浮かべるユフィールの言葉に、硬直してしまう。それは「冷たいです」と、泣きそうに言ってきたのだ。

「そ、そうかな」

「そうです」

「縄……解く?」

「勿論です」

「わ、わかった」

 流石に、ユフィールの言葉が強力だった。当初、ディオンの日干し計画は後二日続く予定だったが、ユフィールの言葉で終了してしまう。ウィルが聞き入れてくれたことに、彼女は機嫌を直す。そして早くディオンを開放するようにせがむと、ウィルの背中を押し続ける。

「食事後に、水浴びですね」

「大変だ」

「汚れているのですから、仕方がありません。それに、ウィル様がディオンをあのように……」

「言うね」

「そうでしょうか」

「……うん」

 確実に、日に日に成長していっている。それは、他人が見ればいい方向へ働いていると認識できるが、ウィルにしてみれば悪い方向へ進んでいると思っていた。
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