ユーダリル

 何事も、程々が一番。

 流石、セシリア。

 長く付き合っているアルンの心情は、把握している。

 無論、アルンも従う。

 そして、仕事を再開した。


◇◆◇◆◇◆


 ウィルと一緒に買い物に行ったユフィールは、店内に並べられている商品を眺めていた。彼女は、トレジャーハンターという職業は理解しているが、詳しい部分では把握していない。商品を眺めている表情が、ちょっと間抜けであった。それを横で見たウィルは、クスクス笑う。

「ウィル様?」

「面白い」

「えっ!?」

「ユフィールの顔が」

「わ、私……」

 その言葉に、ユフィールは過敏に反応してしまう。勿論自身がどのような表情を浮かべていたのかわからないが、ウィルがこのように言うのだから「おかしな顔」というのは間違いない。

 一瞬にして、顔が紅潮してしまう。それを隠したいのか、ユフィールは店の奥へ行ってしまう。しかし途中で店主と出会ったのか、か細い悲鳴が響く。その後、再び駆け出していた。

「ユフィール」

「ウィル様は、お買い物をしていて下さい。私は、大丈夫です。本当に、大丈夫です。お願いします」

 混乱している影響が、言葉がおかしい。相当パニック状態に陥っているのだろう、ウィルはユフィールに触れてはいけないと判断する。今彼女のもとへ行ったら、発狂してしまう。流石に、これ以上追い詰めるのは可哀想だ。それに、店内にいれば大丈夫だと判断する。

 しかし、内心心配だった。以前、ユフィールはウィルの元仕事仲間に苛められた経験がある。その為、横目でユフィールの位置を確認しつつ、棚に並べられている商品を見ていく。

 ウィルが購入予定の代物は、俗に言われる消耗品。特に、明かりを灯す蝋燭と油は欠かせない。人間の身体は、暗闇の中での生活に適応していない。よって、これらは必需品だった。
< 192 / 359 >

この作品をシェア

pagetop