ユーダリル
何事も、程々が一番。
流石、セシリア。
長く付き合っているアルンの心情は、把握している。
無論、アルンも従う。
そして、仕事を再開した。
◇◆◇◆◇◆
ウィルと一緒に買い物に行ったユフィールは、店内に並べられている商品を眺めていた。彼女は、トレジャーハンターという職業は理解しているが、詳しい部分では把握していない。商品を眺めている表情が、ちょっと間抜けであった。それを横で見たウィルは、クスクス笑う。
「ウィル様?」
「面白い」
「えっ!?」
「ユフィールの顔が」
「わ、私……」
その言葉に、ユフィールは過敏に反応してしまう。勿論自身がどのような表情を浮かべていたのかわからないが、ウィルがこのように言うのだから「おかしな顔」というのは間違いない。
一瞬にして、顔が紅潮してしまう。それを隠したいのか、ユフィールは店の奥へ行ってしまう。しかし途中で店主と出会ったのか、か細い悲鳴が響く。その後、再び駆け出していた。
「ユフィール」
「ウィル様は、お買い物をしていて下さい。私は、大丈夫です。本当に、大丈夫です。お願いします」
混乱している影響が、言葉がおかしい。相当パニック状態に陥っているのだろう、ウィルはユフィールに触れてはいけないと判断する。今彼女のもとへ行ったら、発狂してしまう。流石に、これ以上追い詰めるのは可哀想だ。それに、店内にいれば大丈夫だと判断する。
しかし、内心心配だった。以前、ユフィールはウィルの元仕事仲間に苛められた経験がある。その為、横目でユフィールの位置を確認しつつ、棚に並べられている商品を見ていく。
ウィルが購入予定の代物は、俗に言われる消耗品。特に、明かりを灯す蝋燭と油は欠かせない。人間の身体は、暗闇の中での生活に適応していない。よって、これらは必需品だった。