ユーダリル
消耗品は、幾つあっても足りない。それに、アルンから大金を貰っている。買い占めてもいいが、それだと他の人達に迷惑になってしまう。やはり、半分は残しておいた方がいい。
それに、量が多い。これだけの量を一人で持つのは、大変だ。蝋燭の場合はいい。問題は、油が入れられている物だ。これは、壊れ易い陶器で作られている。落とした場合、中味が全てこぼれ出る。物は油。床に広がれば滑りやすく、万が一火が点いたら全焼は免れない。
此処は、人手が必要。
頼むのに適しているのは店主。
しかし――
どうも、憚れる。
この場合、ユフィールに頼むのが一番。だが現在、微妙な空気が漂っている。それを思うと、陶器を持って欲しいと頼むわけにはいかない。ウィルは両腕を組むと、唸りつつ悩む。
ユフィールと店主。
無論、結論は決まっている。
だが、恥ずかしいが前面に出ている為に、それを口にすることができない状況にあったのだ。その時、オズオズトした態度でユフィールがやって来る。どうやら、一人で商品を見ているのがつまらなくなってしまったらしい。彼女にしてみれば、好きな相手の側にいたいもの。
その為、このようにウィルの前に姿を見せる。しかし、決して視線を合わせようとはしない。
「どうした」
「お、お手伝いを――」
「いいの?」
「私は、ウィル様のお手伝いをする為に、ウィル様の家で働いています。ですので、構いません」
彼女自身、ウィルの動向が気になっていた。よってウィルと同じように、物陰から見ていたのだ。互いに、想い合っている同士。それにより、どうしても両者の行動が一致する部分が存在する。
真実を知った二人は、同時に噴き出す。他のカップルと違い、二人の進展はのんびりとしている。
しかし早い進展を望んでいるのではないので、のほほんっと気構えて生活している。それに、こうやって楽しくやっているのが一番の幸せ。
ウィルは当初ユフィールの手助けを拒んでいたが、彼女の行動を見ると心変わりする。そしてウィルは、彼女を選択した。