ユーダリル
「ついつい」
「まさか、俺を……」
「条件反射だよ。ほら、今まで苛めていたし。それが関係して、ついついやってしまうんだ」
ウィルは本音を言っているが、ゲーリーは冗談で言っていると勘違いしてしまう。これも今までの経験が関係しており、簡単に受け入れることはできなかった。その結果、顔が引き攣っている。
「信用ないんだな」
「苛めた期間が、長いからね」
「そうだった?」
此方は、冗談で言った言葉。しかし先程の出来事があるので、ゲーリーは本気で捉えてしまう。その為握っていた手を振り解くと、ウィルとの間に距離を取ると反射的に身構えた。
「仲良くなるんじゃないの」
「言葉が信用できない」
「悪かったよ。今度は、本当のことを言うから。お前と一緒に、仕事をしてみたいと思っている」
「本当か?」
「冗談と思っているのなら、それでもいいよ。お前と似ている部分があるから、仲良くて切ると思ったのに」
分かり合える仲を期待していたのに、ゲーリーが拒絶の意思を表している。これにより完全に決別しようと考えていたウィルであったが、ゲーリーはそうではないと言いたいのか必死に食い付く。
ウィルに比べて、友達が多い方ではない。そして今、友達を一人増やすチャンスでもあった。その為、自分に非がなくとも自分が悪いと言い、ウィルと友情関係を築こうと努力する。
「友達?」
「友達」
「いいのか?」
「しつこいぞ」
「よ、宜しく」
恐る恐る手を伸ばす。ウィルは差し出された手を握ると、今度は力を込めることはしなかった。それどころか上下にブルブルと何度も振り、長い友情関係を築いていこうと約束し合う。
今度は、やっとゲーリーが受け入れてくれる。そして互いに笑い合い、仕事について語る。