ユーダリル
日頃、世話になっている姉。何とかしないといけないと思ったユフィールは、ウィルに話してくると言う。それに対して、セシリアは何も言ってこない。普段の彼女だったら止めてほしいと言ってくるのだが、問題が問題。逆に、問題の解決に協力してほしいと頼んできた。
「いってきます」
「有難う」
「お姉ちゃんには、幸せになってほしいの。お姉ちゃんの仕事が大変なことは、わかっているもの」
「それは、貴女もよ」
姉の言葉に、ユフィールの頬が微かに赤らむ。何とも正直な反応にセシリアはクスクスと笑うと、何としてでもアルンの性格を改善していこうと思う。しかし今回、セシリアは手出ししない。ウィルとユフィールの中を一気に縮めるには、二人で何とかしてもらうのが近道だったからだ。
「じゃあ、お姉ちゃん」
「ええ、宜しく」
姉妹で笑い合った後、ユフィールはウィルのもとへ急ぐ。だが、その場所にはゲーリーがいた。流石に、ゲーリーに今回の件を話すわけにはいかない。相手は他人。それに変に首を突っ込まれたら、おかしな方向へ流れて行く可能性が高いので、会話が終わるのを待った。
一時間後――
話が終了し、ゲーリーが帰って行く。それを知ったユフィールは、急いでウィルもとへ向かった。
「何?」
「お話が……」
「兄貴?」
「何故、それを――」
ピンポイントで言い当てたことに、ユフィールは驚く。しかしウィルにしてみれば、簡単にわかる。先程、アルンが予定を聞いてきたからだ。それを踏まえて推測すると、瞬時に回答を導き出せる。
流石、兄弟。兄の行動は、把握積みだった。だが、これで驚いている暇ではない。ユフィールは姉とのやり取りを話していくと、ウィルに協力を求めた。彼女が話す内容に、ウィルは苦笑してしまう。しかし、協力すると言う。
彼も、兄とセシリアが結婚して欲しいと望んでいたからだ。それに早く結婚してくれた方が、自由に仕事ができユフィールと遊べるからだ。