ユーダリル
今日は、念入りに計画を練っていく。
そして実行は、明日だった。
◇◆◇◆◇◆
翌日、セシリアはアルンに対し衝撃的な内容を言う。勿論、アルンが受け入れることはしない。それどころか、逆にどうしてそのようなことを言うのか尋ね、激しく動揺し半分暴れていた。
「落ち着いてください」
「落ち着けるか」
「アルン様、何事も落ち着きが大切です」
「この内容で、落ち着けというのが無理にきまっている。セシリアは、今の仕事が嫌なのか」
「はい」
正直な答えに、暴れていたアルンの身体が硬直しまう。そして何度も頭の中で「嫌い」という言葉がエコーしているのか、ボソボソと言葉を呟く。その後、甲高い悲鳴を上げていた。
「……アルン様」
「許さない」
「そう仰ると思いまして、ウィル様に手続きをして頂きました。ですので、もう遅いですから」
「何故、それを選んだ」
「たまには、刺激が欲しいですので。それに、ギルドマスター様が私の腕を買ってくれました」
それを聞いたアルンは、頭痛を覚える。新しく選んだギルドマスターが曲者だと聞いていたが、まさかこれほどまでの人物とは思わなかった。彼は怒りのあまり顔が歪み、舌打ちする。
セシリアがアルンに言った内容というのは「秘書を辞め、トレジャーハンターになりたい」というものだった。そしてウィルの作戦というのは、このトレジャーハンターが関係していた。
彼女が命がけの仕事を行なうと言った場合、アルンが必死に止めにかかり、あわよくば告白までいけばいいと思っていた。
しかし、そんなに上手く事が運ぶことはなかった。それもこれも、アルンが頭に血が上ったからだ。お陰で正しい判断が行なえず、感情的になってしまう。それにより、セシリアが一番欲しかった言葉が言われることはなかった。それどころか、彼女をますます困らせた。