ユーダリル

「行く?」

「当たり前だ」

 確かに、アルンは強い。しかし、トレジャーハンターに関しては素人そのもの。行っても死ぬ心配はないが、怪我は免れない。それにセシリアが行ったといっても、立ち入るわけではない。

 だがアルンは計画を知らないので、本気で仕事を行なっていると思っている。その為、向かう気満々だ。この調子だと、危険地帯でも平気で突っ込んでいく可能性が高くなってきた。

 身の安全を図る意味で、このあたりでネタばらしが一番か――だが、エリアが許さなかった。

 今回協力を得るということで、計画をエリアに話している。そして何を思ったのか、彼女はもっと楽しもうという雰囲気を出していた。こうなってしまうと、彼女の独壇場になってしまう。

(まあ、いいか)

 エリアはぶっ飛んだ部分を持っているが、加減はわかっている。彼女も、何だかんだで優秀だからだ。

「ウィル、付き合え」

「いいけど」

「何だ、その言い方は」

「いや、準備しないと」

「お前に任せる」

「わかった」

 手伝ってくれると期待していたが、それは甘い考えであった。セシリアを迎えに行くのだから、アルンが何とかしないといけない。しかし、他力本願もここまでくると大したものだ。

「兄貴、徒歩だよ」

「ウィルは違うのか?」

「ディオンがいるから」

「乗れないのか?」

「慣れていないと無理。兄貴でも、噛み付くと思うよ。ディオンの歯は協力だから、危ない」

「そうか」

 どうやら、ディオンの背中に乗り楽してセシリアのもとへ行きたかったらしいが、世の中そんなに簡単にはいかない。それに苦労した方が、アルンの為である。今まで、散々我儘を言ってきた。これを機会に、少し成長してほしいと思うのが、ウィルの本音でもあった。
< 236 / 359 >

この作品をシェア

pagetop