ユーダリル
両親の性格を考えると、必ずトラブルが発生する。いや、二人がトラブルを誘発するのだ。
本当は呼びたくないのだが、アルンの両親という立場を考えると呼ばないわけにもいかない。それに、呼ばなかったら後で何を言われるか。あのテンションで迫られたら、精神的苦痛は半端ではない。
連絡は、早い方がいいか悪いか――ウィルは、溜息を付く。
この連絡も、ウィルが行わないといけないだろう。アルンの性格上、自分から進んで連絡はしない。やりたくないことはウィルか周囲にいる者達に頼み、自分は安全な部分で眺めている。
厄介な性格の持ち主。
ウィルは、二度目の溜息を付いた。
両親に面と向かって言うのは勇気がいるので、手紙を書くのが一番。何より、両親に会うと精気が吸われてしまう。
しかし、何と書けばいいか。簡約的に「アルンが結婚する」と書くのもいいが、内容が内容なので細かく丁寧に書かないといけない。これからやらないといけないことに、ウィルは気が重かった。
この場合、ユフィールに協力を煽るのがいいだろう。そう考えたウィルは素早く立ち上がると、ディオンの背中をポンポンっと叩く。そして背中に跨ると、高速飛行で自宅に戻った。
自宅に戻ったと同時に、ウィルはユフィールの姿を捜す。しかし今日は建物が広い実家にいるので、簡単に捜し出せなかった。しかし、相手はメイド。仲間に聞き、見事捜し出すことに成功した。
「計画は、どうでしたか?」
「成功」
「本当ですか!?」
「これで、セシリアさんは兄貴と結婚するね。で、お願いがあるんだ。両親に手紙を書かないといけないんだけど、両親の性格を考えると難しい。だから、ユフィールの手を貸してほしいんだ」
「どうすればいいのですか?」
「手紙の内容を考えてほしい」
ウィルの頼みごとに、ユフィールは最初キョトンっとした表情を浮かべていたが、彼の言いたいことを理解したのか、何度も頷き了承してくれた。ユフィールとの約束を取り付ければ、此方のもの。ウィルは満面の笑みを浮かべると、紙とペンを全速力で探しに行った。