ユーダリル
本人達は、激しく否定するだろう。しかしユフィールを含め、多くの者達が「同じ」と見ていた。
反応に困ったユフィールは、暫くウィルの顔を見詰める。すると彼女の反応にウィルは首を傾げると、手伝うことが不満なのかどうか尋ねる。勿論、彼女が不満を持つことはなかった。
「それならいいけど」
彼女の反応に、それ以上の追及は行なわなかった。そのことにユフィールはホッとすると、自分自身の考えを話していく。
「えーっと、ウィル様。やっぱり、姉に付いて詳しく書いた方がいいのではないでしょうか」
「セシリアさん?」
「は、はい」
「確か、知っているよ」
「いえ、性格面です」
「ああ、知らないね」
ウィルの記憶では、両親が持つセシリアに対しての知識は「アルンの秘書」と「恋人」の二つだ。
セシリアは将来、義理の娘となる人物。やっぱり、性格面を詳しく知っておいた方がいい。ユフィールの考えを受け取ったウィルは、紙の上にペンを走らせていくが、途中で止まってしまう。
「妹としては?」
「私の意見ですか?」
「うん。セシリアさんのことを詳しく知っているのは、ユフィールの方だと思うね。姉妹だし」
「難しいです」
「そういうもの?」
それは、意外な反応だった。ウィルは実兄の性格について、長々と流暢に語る自信を持っている。それだけ、アルンという人物が持つ個性が半端なく強いのだった。しかし、ユフィールは違う。姉を勝手な意見で評価したくないのか、なかなか意見を言おうとはしない。
これが、ユフィールのいい部分であり悪い部分であった。だが、それでは手紙が書けない。
できるものなら、妹から見た姉について聞きたいが、無理強いするのもいいものではない。ウィルは両手を組むと、日頃の仕事っぷりについて書いていくことにした。決して満足がいく内容ではないが、ユフィールを困らせてまで聞き出すというのは、それはそれで心苦しい。