ユーダリル
ユフィールの後姿にひらひらと手を振ると、自分は手紙を出しに行く。向かう場所は、手紙配達所。この場所に手紙を持ち込み料金を支払うと、目的の場所まで専用の人物が運んでくれる。
現在、手紙の配達ルートが確立されているので、昔より連絡が取りやすくなっているので有難い。
ウィルは料金を支払い手紙を渡すと、手紙配達所から出て行く。そして次に、ギルドへ向かった。
ギルドマスターエリアに、一部始終を話さないといけない。尚且つ、ギルドにいると思われるゲーリーに会いたかったからだ。珍しく、今日はディオンに乗っていない。たまの気分転換ということで、地面を歩いていた。それに、手紙配達所からギルドまでの距離は近い。
ギルドに到着と同時に、真っ先にエリアのもとへ行く。すると相手もウィルのことを待っていたのか満面の表情で出迎え、どのような結末を迎えたのか早口で尋ねてくる。こうなると、近所のおばちゃんだ。
「簡略的でしょうか」
「長くてもいいわ」
「で、では……」
エリアの命令を受け、ウィルは事細かに説明していく。彼の言葉のひとつひとつに反応を示すエリアであったが、説明が終わるまで一切言葉を出すことはない。それだけ、楽しんでいたのだ。
「で、結婚するの?」
「……は、はい」
「歯切れが悪いわね」
「すみません」
「まあ、いいわ。結婚するということは、おめでたいことですもの。で、私も行っていいかしら」
衝撃的な言葉に、ウィルの時間が止まる。彼の耳元では「行ってもいい」という言葉が何度も響き、脳味噌を痛める。
個人的には、来てほしくない。しかし断った場合、何をやられるかわかったものではない。
と言って、即答もできない。ウィルは、回答を保留してほしいと頼む。今は、それしか言えなかった。
いつもであったら保留を受け入れてくれないエリアであったが、今回はウィルの結婚ではないので、素直に受け入れてくれたが、よくよく考えれば恐ろしい面を含んでいる。アルンの結婚だから諦めてくれたということは、ウィルの結婚の場合反論の余地を与えてくれないということだ。