ユーダリル
彼も、どのような物が出展されるのか興味があった。それに、落とされる値段も気になる。トレジャーハンターとして働いている身分として、いい物を見て目を養うのも大事なこと。ゲーリーも同等の考え方を持っているのか、座り直し腕を組みどっしりと構えていた。
壷に書画に絵画。
それに、古めかしい本。
出品されている大半が、トレジャーハンターが見付けてきたもの。誰が見付けてきたものなのかわからないが、高値がつく物を探してきたのだから、腕前は相当のものに違いない。
ウィルも、オークションに出品する宝を何度も探し出しているが、目の前に出される宝を見ていると、自分の腕前がまだまだだということを認識する。同時に、激しくへこんでいた。
一方のゲーリーは素晴らしい宝を目にし、キラキラと瞳を輝かしていた。欲しい玩具を目の前にした子供のようにはしゃぎ、ウィルの苦笑を誘う。しかし、わからないわけでもない。
これだけ素晴らしい品物を見ていると、気持ちが昂ぶってくる。だが、ウィルはへこみの方が強かった。
「あれ、欲しいな」
「金は?」
「問題は、それだよ」
「じゃあ、似たような物を探しに行くか」
会場は、飛び交う人々の声で煩い。その為二人は互いの頭を近付けると、小声で囁いていく。
しかし関係ない会話は、周囲でオークションに参加している者達の耳に届き、鋭い視線で睨まれてしまう。
白熱している中で、余分な会話は邪魔そのもの。鋭い視線を向けられたことに、二人はコソコソと会場から出て行くことを選ぶ。これ以上あの場所にいたら、無言の圧力に耐えられないからだ。
「疲れた」
「皆、怖いね」
「殺気立っている」
「毎回、参加するものじゃないね。どちらかといえば、トレジャーハンターとして出品している方がいい」
ゲーリーの言葉に、ウィルは何度も頷く。彼にしてみれば、オークションがこれほど熱いものだと思ってもいなかったので、予想以上に体力と気力が奪われ、壁に寄り掛かってしまう。