ユーダリル

 エリアの了承を受け取れば、此方のもの。次にウィルはゲーリーとの約束「菓子の材料」を買いに行った。

 今回、二人が作るのはクッキー。材料はゲーリーが教えてくれたので、覚えている。彼はユーダリルの中で一番大きい街がある島へ行くと、クッキーの材料が売っている店を探す。

 幸い、その店はすぐに見付かった。流石、大きい島にある街。ウィルはその店に入ると、材料を手に取っていった。

 ふと、どれくらいの量を購入すればいいか迷う。一人暮らしなので、料理経験を持つウィル。
料理を作る場合、分量の計算をしないといけないということを知っている。しかし今回の菓子作りは、分量を決めていない。その為、小麦粉が入っている袋を目の前に固まってしまう。

 ウィルは腕を組み、最善の方法を考えていく。この場合、分量を決めていないので料金の方を優先した方がいいだろう。手持ちの金は、それほどいい方ではないからだ。それに、生活費も残さないといけない。

 また、菓子作りに必要な材料は小麦粉だけではない。他の材料の値段も含めると、やはり少ない方を選択する。

 だが、失敗を考えると大量に材料を買わないといけないだろう。それを考えると、大きいのが一番だ。

 それに、ケチケチしていたら趣味は楽しめない。ウィルは小麦粉の袋を手に取ると、次にバターを探しにいく。目的の物は、小麦粉の近くに置かれていた。これは小麦粉と違い、形は全て一緒だ。

 バターを手に取った後、今度は砂糖と卵だ。だが、卵は割れやすいので、先に砂糖を取りに行く。

 すると、手がいっぱいになってしまう。これでは卵を落とし、割ってしまう可能性が高い。

 ウィルは卵以外の材料を支払いを行なうカウンターの上に置くと、いそいそと卵を取りに行った。

「これで、お願いします」

「袋は、二つにわけようか」

「できれば」

 卵を割ってはいけない。これも店主の心配りか、卵はひとつの袋の中に入れ、他の材料は二枚目の袋の中に詰め込んだ。

「料金は……」

 それを聞いた時、ウィルは財布を開くと中身と相談してしまう。予想以上に、値段が高かったからだ。
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