ユーダリル

「ウィル様。招待状を作りませんか」

「招待状? ああ、そうだね。でも、どうすればいいか……こういうのって、難しいんだよね」

「最初に、一覧表を作りませんか」

「一覧表?」

「はい。参加者が、多いでしょうから。それに、早めに招待状を出しませんと、それぞれ予定がありますので」

 ユフィールの言葉に、ウィルは納得したように頷く。それなら早速、二人の関係者を調べていかないといけない。ウィルはユフィールを連れ、アルンとセシリアのもとへ急ぐのだった。




「あれ? いない」

「この場所なのですか?」

「そう、この場所で兄貴はセシリアさんにプロポーズをしていた。うーん、仕事をしに行ったのかな」

「では、仕事部屋ですね」

「いや、違うと思う」

 その言葉に、ユフィールはキョトンっとしてしまう。どうやら、ディオンが窓硝子を割った事件を知らないようだ。それを知ったウィルは、先程の出来事を簡略的に話していくのだった。

 彼の説明に、ユフィールは驚きを隠せないでいた。まさか、自分がいない時に、そのようなことが起こっていたとは――そう、例の事件の時、ユフィールは買い物に出掛けていたのだ。

「大丈夫だったのですか?」

「平気平気」

「それは、安心しました」

「硝子が割れただけだから、兄貴とセシリアさんには危害を受けていないよ。まあ、セシリアさんは安全か」

「ディオンは、優しいですから」

 最初は怖いと思っていたディオンだが、最近ではユフィールに服従をしている。そして彼女に懐き、ぶっとい尻尾を振る。

 勿論ディオンは、最初からセシリアに服従している。ユフィールはそれを知っているので、ホッと胸を撫で下ろす。しかし、まったりと例の事件とディオンのことで、話している暇はない。早くアルンとセシリアを探し出し、参加者の一覧表を作らないといけないからだ。
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