ユーダリル
その後、予想通りにウィルはユフィールの食事をお代わりし「美味しい」と言い、満足いっぱいの表情で食していく。
そして翌日から例の仕事の準備を行ないつつ、尚且つディオンの躾に付いてユフィールと共に考えていった。だが、なかなかいい提案が出ないまま、仕事の日を迎えることになった。
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「期待しているわ」
ギルドマスターエリアの言葉に、ウィルとゲーリーは同時に頭を垂れる。勿論、真面目に仕事は行なう。真面目に行なわなければ、今後の仕事に関わってくるからだ。更に、信頼がなくなる。
二人はそれを知っているので、互いに気合を入れ合う。やる気満々の態度にエリアは満足そうに頷くと、クスクスと笑った。
裏が感じられる笑い方に、二人の身体が同時にブルっと震える。しかし無用な質問を行なうと倍になって返ってくるのを知っているので、笑いに関しての質問を二人は行なわなかった。
だが、別の意味での質問をゲーリーが行なった。それは、どうして護衛が必要か――というものだ。
「ユーダリルは、平和です」
「それは、わかっているわ。でも見知らぬ土地に来た場合は、それはわからないでしょ。心配なのよ」
「なるほど!」
エリアの説明に、納得したようにゲーリーはポンっと手を叩く。それにユーダリルは、空中に浮いている。土地勘がない人物が、一人でフラフラとしていい場所ではない。下手すると、落下してしまう。
護衛という形でギルドに依頼しているが、要はユーダリルの案内を任せたいということだろう。
事前にギルドに依頼しているのだから、それなりにきちんとした人物ではないかと二人は期待する。護衛にせよ案内にせよ、我儘な人物を相手にするのは精神的に厳しいものがある。
「そういう訳だから、頑張りなさい」
その言葉に、ウィルとゲーリーは同時に返事を返す。するとその時、タイミングを見計らったように部屋の扉が叩かれた。その音にエリアは返事を返すと、扉が開きギルドで事務の仕事を行なっている人物が入って来た。そして、例の依頼人がやって来たことを伝える。