ユーダリル

 シュナイダーが勝手に何処かへ行ってしまい、ゲーリーも一緒に混じって遊ぶ。それを見守るウィル。一応仕事は成功したが、中身は褒められたものではない。ゲーリーの言葉に、エリアの眉がピクっと動く。そのことに真っ先に気付いたウィルはゆっくりと後退していくと、両手で耳を塞いだ。

 刹那、エリアの怒鳴り声が響いた。

 耳を塞いでいた為に、ウィルは何とか耳を防御することができた。しかしゲーリーとシュナイダーは防御していなかったので、エリアの怒鳴り声が直に耳に入り脳髄を激しく刺激した。

「本当に、貴方達は」

「マスター、依頼人まで……」

「あっ! 私としたことが」

 失神寸前のシュナイダーの姿に、エリアは片手で自分の口を塞ぎシマッタという表情を作る。だが、それは遅かった。シュナイダーはギルドで働いている者達に運ばれ、暫く入院してしまう。

 残ったゲーリーは失神を免れたが、精神的ダメージは相当なものだった。それにより、エリアに逆らってはいけないと学習する。一方のウィルは、エリアの命令で反省文を書かされた。

 しかし、成果がなかったわけではない。三人が行った遺跡の中で、今まで発見されていない珍しいものが見付かったのだ。この発見は学会を驚かせ、多くの考古学者がユーダリルに集まってくる。

 考古学者が集まることにより、潤うユーダリル。住民達はこの状況に喜ぶが、数名の人物が喜べない状況にあった。

 ギルドマスターのエリアが依頼人を怒鳴りつけ、失神させたという噂が広がり暫く大人しくしないといけなくなってしまった。また例の一件がアルンの耳に入り、彼の雷が落下したという。
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