デイジー
啓太がでていって、どれくらい経ったんだろう?

さっきまで真っ白だったノートにはポツポツと思いつき限りの言葉が並んで、それがどんな風に繋がるのか、今か今かと待っている状態。

朧気ながら、俺の感じるラブソングっつーやつのシッポが見えてきた。


「…ここまでくれば、何とかなるかな?」


啓太の言葉を借りれば、チョコレートみたいに口で溶けちゃうような甘い曲なんて、遠いかもしれない。

だけど、俺が思う、俺が感じる恋のイメージは言葉にできた。

こんな感じでいいかな?

しかし………

頭の中をグルグルと回っていた恋の言葉に酔いそう……


「「ただいま〜」」


玄関から聞こえてくる買い出し行った奴らの声が聞こえきた。


「飯、なんだろうな…」


さっきまで書けないだの、書き始めたら甘い言葉で酔いそうだったのに、急に現実に戻ったな〜。

でも、買い出しに行った奴らの手伝いをしない訳にはいかないよな。

俺は手にしたノートとペンをベッドに放り出すと、奴らの待つリビングへ向かった。


「おかえり。夕飯、何?」

「今日はね、お好み焼きにしたよ。

好きだろ?啓太も薫も。」


ガサガサと買い物袋から中身を取り出すこいつも、俺の幼馴染の小森光希。

涼しげな目元が印象的なこいつも、絶賛恋愛中。


光希と一緒の買い出し行ったのが、もう一人のメンバー、海藤浩輔。

180オーバーの長身で、手足も長い。

黙ってるとモデルみたいに格好良いのに、いつもニコニコ笑って俺たちを和ませてくれる。

あ、こいつは彼女いないな。

安心、安心…


「お好み焼きだって〜?」

お好み焼きっていう言葉が聞こえたからか、フラフラと部屋から啓太もでてきた。

寝ていたのか、ボサボサの頭をガシガシと掻きながら…

「啓太、好きでしょ?

いっぱい焼いて、いっぱい食べようね〜」

「おーう!いっぱい食うぞー!」


はぁ〜……二十歳をいくらか過ぎた男の会話とは思えない…

ガキの頃から成長してないんだな…俺たち………




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