【完】甘い香りに誘われて 2 *極道若頭×姐さん修行中の♀


恋愛ブランクの長かった私には、幸せに感じる半面戸惑いも多い。


極道での生活もおっかなびっくりだったりすることも多いから


ノンストレスというわけではないのかもしれない。


受け止めてくれると信じているから止まらないのかもしれない。


「結衣さん、堅気の女が極道の女になる戸惑いも不安も若は一生懸命感じとろうとしてるのよ。自分にとっては生活に幸福がプラスして結衣さんが加わった。だけど結衣さんには、全部が変わった。全部を変えてまで自分と生きてくれる事が嬉しいのよ。だから全部受け止めるわ。もっともっと知りたいもっともっと自分を吐き出せってね。うちのも昔はそうだったわ。」


「お母さん惚気?」


「今は、聞こえないふりされるんだから私が極道に慣れたってことよ。」


「慣れます?」


「若が聞こえないふりするようになったら結衣さんが慣れたってことよ。今は、若も結衣さんの行動も反応も言葉も表情もそのひとつひとつを読み取ることで必死よ。させておきなさいよ。極道の女になったんだからって。」


「いや、好きになった人が極道で腹のくくり方もわからないままなんですよ?」


「それでもなのよ。」


「そうなんだ…。」


「自分の人生を預けたんでしょ?命さし出したんでしょ?」


「あ、はい。それはそうです。」


「命の危険と隣合わせなんだから感情を吐き出さないと病気になるわ。」


「麻衣さんがそうでしょ。」


「麻衣さんって二宮組の?」


「そうよ。言わないで心が病み床に伏せがちになってしまうなら、ぶつけあって、仲直りして元気にいた方がいいわ。そうやって深めあうの。極道の男の抱えてるもんも大きいから、向こうからぶつけられる時はこっちがふっとびそうなほどよ。いいのいいの。極道の娘の冬ちゃんだって喧嘩しながら大泣きしてるわよ。」


「お母さんシーッって。」


あはははは





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