【完】甘い香りに誘われて 2 *極道若頭×姐さん修行中の♀
みんな同じなんだ。
なんかちょっとホッとしながら白川の家を後にした。
隼が帰ってくる連絡をくれた時は何だかどうしようもなく申しわけない気持ちで
「迎えに出るからゆっくり運転してもらってね。」
そう答えると急いで玄関まで走って行った。
玄関にいた植木さんに
「連日の喧嘩の猛反省です。植木さんにも本当にご迷惑をおかけしました。隼にも、たくさん謝ります。」
「なーに、若が結衣さんと喧嘩をなさるっていうのも楽しいんでごぜぇやすよ。」
「え?楽しんでる?」
「いえね、口数の少ない不器用な若と、人の気持ちを優先してしまう結衣さんの喧嘩じゃないですか喧嘩になりようもない2人の喧嘩が面白くないわけないでごぜぇやしょ?」
「え?ここ怒った方がいい?あははは。」
「若はね、楽しい事しか口にしない結衣さんが心配だったんでごぜぇやすよ。人間ってのはね、そういうものじゃねぇでごぜぇやしょ?」
「でも、ここで暮らして楽しいことばっかりですよ。」
「もっと、イヤだとか怖いとか言ったらいいんですよ。言いたくても言えねぇ時がどうしてもある世界だ。その時の我慢は堅気の世界じゃ想像も出来ねぇぐらいでしょ。」
想像も出来ないぐらいの世界は想像もしたくない…。
「言えるときに言うんでごぜぇやす。そして言っちゃいけねぇ時には静かにそっと耐えるんでごぜぇやすよ。」
「はい。」
植木さんに笑顔で返事をすると
門が開き隼の車が入ってきた。