百物語
屋根裏


職場の後輩の話です。


車にひっかけられて、大学生の時1ヶ月入院したらしいんですね。
それがけっこう後を引いたらしくて、退院後もしばらく病院に通わなきゃなんなくなったそうです。

その病院って家から遠くて、彼、通院のために病院の近くの大叔父さんの家に居候したんです。

その家での話。


彼の部屋は二階なのに、とにかく湿気がひどかったそうです。

雨漏りじゃないし、近くに川とかもないんで、原因が分からなくて困ってたって言ってました。

彼のベッドは壁際にあったんですけど、ちょうどベッドに沿って壁に染みができる感じ。

気持ち悪いのは、湿気が嫌でベッドを動かしても、しばらくすると必ずベッドのそばがじめじめしだすっていうね。

そのうち、朝起きると体が濡れるようになったそうです。

壁に近い寝間着が湿って、だんだん水の冷たさで目を覚ますまでになって。

夏だから風邪とかは心配してなかったけど、大叔父さんの家でほかに空いてる部屋はないし、少しの間だからって我慢してたそうです。
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