百物語
しばらくどういうことか分からなくて、ベッドの上でパニックになったそうです。
分かるのは、生臭い水は【これ】のせいで、ベッドから降りちゃいけないっていうことでした。
うしろの壁からはもうぼたぼた水が垂れてて、でもベッドからは降りられない。
パニックの間に、女はベッドの下から少しづつ体を出してきました。
髪が長くてびしょびしょで、顔の肉は半分腐って骨が見えてて、白目には瞼がない。口は半開きだけど唇が腐り落ちてて歯も抜けている。
でも見られてる、って分かったらしいです。
連れていかれる、って咄嗟に理解して、枕をその顔に投げつけて絶叫しました。
喉がぶっ壊れるんじゃないかってくらい叫んだら大叔父さんが飛び込んできてくれたそうです。