なんで私が芸能人ッ!?








てわけで撮影終了後。
やっぱりというか何というか……






「お疲れさま、矢城さん。」






宮崎さんに声をかけられました。
なんだかなぁ……気に入られてるのか?これは。
いや、気にかけられてるんだろうけど……何故?






「お、お疲れさまです……。」






「あなた……思った通りね。」






綺麗な笑顔を浮かべる宮崎さんと対照的に、なんとか芸能人モードで苦笑い。





「はぁ……。」





何が?
って感じなんだけど……。






「演技。………あーあ。また始まったなんて言葉、台本に無いわよね?」







「あ……いや、それは……だ、誰にも聞こえないくらいの声で言いましたよ!?」






つい未夢が口走ってた言葉を聞かれてたとか……!






「ええ、そうね。……私は気づいたけど。
それより、なんでそんな言葉を?」






「えー、とですね……。
まあ、つい未夢がつぶやいちゃった……みたいな?」







このごに及んで人のせいとか言わないで?
だって、本当のことなんだもん!!







「ふふっ……ほら、思った通り。」







ん?ちょ、だから何が?







「次の次に当たる撮影……楽しみにしてるわ。」






妖艶な笑みを浮かべ、立ち去った宮崎さん。







「やっぱり、よくわかんない人だなぁ……。」







……でも、嫌いじゃない。
次の次の撮影は未夢と恵梨の濃い絡みがあるシーンだ。







宮崎さんは、どんな恵梨で来るのかな………?
宮崎さんじゃないけど……楽しみだな。








「おい、話は終わったのか?」







先輩がひょっこり出てくる。






「はい。……それにしても宮崎さん、今日の撮影も一人飛び抜けたオーラ放ってましたよね。」








「ああ。………お前もだけど、な。」







「へっ?」








「ぶっ……これ前も思ったけどよ、へっ?ってなんだよ。
あーいや、お前だって宮崎凛花にそう負けてねぇよってことな。」








「そそそ、そんなわけ無いじゃないですか……!!
天才若手女優……って伊達じゃないですよ、宮崎さん。」








「おう、けどお前も天才若手女優になるから。」







「な………。」






なにそれ。
どっからそんな自信が出てくるんだろう。






でも。






「あははっ……、本当にそう思ってます?」






その言葉に笑えてしまう私は、どんだけ単純なんだかね。







「はっ?信じてねーの?」







信じらんねぇって感じの先輩は次の瞬間、にって笑って私に近づいた。
いきなりの行動にもちろん私は動揺してしまうわけで。






「ちょ……なな、なんですか!?」





なんか言葉を発するけど、それでも近づいてくる先輩の顔。
恥ずかしくって下を向いていると、






「本当に思ってるからマネージャーやってんだろ?」







って言った先輩の声が聞こえ、つい顔をあげる。
すると、心なしか先輩の顔も赤くなってる気がした。








………んだけど。










ちゅっ………。






その後リップ音の響く音と同時に柔らかい感覚が鼻を襲い、私の顔が真っ赤になる予想。
というか、







「ぶはっ……顔あっか。」







やっぱり赤いらしい。
それに、そう言った先輩の顔は余裕そうで







「~~~っっ、先輩のバカ!!!!」







それしか言えない私はなんかいつも先輩に負けたみたい。








「ははっ、普通にお前のがバカだろ。」







「~~~~~~っっ!!!」







そう言って立ち去っていく先輩の後ろ姿はなんだかんだ言って様になってるもんだから、嫌みだよね。








「ほら、突っ立ってっと置いてくぞ?」







「…………………。」








偉そうな先輩に怒ってますアピールで無言でついてったのに、






「ぷっ………。」






ってまた笑われる。
あーあ、いつか余裕の無さそうな顔をさせれたら良いのに。











< 104 / 162 >

この作品をシェア

pagetop