なんで私が芸能人ッ!?
そして放課後。
私は先輩に連れられて、撮影現場に来ていた。
今日はなんと、カースト学級最後の撮影なんだ。
「こんにちはーっ、今日もよろしくお願いします!!!」
皆の返事を聞きながら気合いを入れた。
最後だ……。
そして今日の撮影の一部は、最初に言ってたみたいに台本無しで私が恵梨をいじめるんだ。
「矢城さん、手加減は……もちろんしないわよね?」
これからいじめられる宮崎さんが私にそう言った。
「はい♪
ですので、せいぜい頑張って反撃してください。」
「あら……言うようになったじゃない。」
ふふふって笑いながら位置についた宮崎さんを見て、私も未夢になった。
「よーいっ……」
カンッ………!!!
「ねえ、真由………?
あんたって、あたしらの味方だよねぇ?」
「う、うん!!
どうかした?」
怯えながら聞く真由に、
「じゃあ、その証拠に恵梨をいじめてよ。
………あたしらが満足できるくらい。」
「えっ……。」
「だって、味方でしょ?
それとも、3軍になりたいわけ?」
「ううんっ、や……やるよ。
え、恵梨………」
「何よ。」
3軍になっても偉そうな態度を崩さない恵梨。
ほんと、ムカつくなぁ……。
「ごめんっ。」
真由はそう言って、近くにあった雑巾を恵梨の顔に近づけた。
「あっはは、汚い顔~。」
果夏がそう言い、
「可哀想だよ、真由!!」
って言う奈未。
「って、そんなこと言って写真撮ってんじゃん。」
良い子ぶりつつ写真を撮る奈未にあたしが突っ込んだ。
「チッ…………。」
恵梨から舌打ちが聞こえた。
「ん?真由ー、こんなんじゃ足りないってー。
もっとやってあげなよ?」
二軍の女子に水を持ってこさせといたあたしは、それを真由に渡した。
「も、もっと……?」
「あー、真由は恵梨と仲良かったもんねぇ。
そんなひどいことできないっか。」
「で、できるよ!!」
そう言って真由が水をかけると、果夏と奈未は爆笑した。
だけど……
「もー、使えないなぁ。
バケツに水が入ってんだから、こうするの。」
あたしはそう言って、真由に渡したのとは別の大きめの水が入ったバケツに恵梨の顔を突っ込んだ。
「み、未夢……それはさすがに……。」
果夏と奈未もそんなあたしを見てヒビってたから、止めてやった。
「ねえ、恵梨……。
優しい果夏と奈未が止めてくれたよ。
良かったねぇ……。」
「………離して。」
頭をつかんでたあたしに言う。
「あたしにそういう口きいて良いんだぁ?
ねえ、今横山がどこにいるか知ってる?」
「っ日菜に何したの!?」
「んー、秘密。
でもね?あたしの縄張りの中ってことは間違いないよねぇ。」
「す、すぐに日菜を離しなさいっ。
日菜には手を出さないで!!!」
「だからぁ、さっきも言ったでしょ?
あたしにそんな口叩いて良いのかって。」
「………どうしろって言うのよ。」
「まずは………未夢様お願いします、なんでもするので日菜を助けてください。
って言って?」
「…………未夢様お願いします。なんでもするので日菜を助けてください。」
ほんとに言った!!
横山のためとはいえ、頑張るねぇ。
なんでもする……なんて。
「あははははっ、良いよ良いよ!!
恵梨超ウケる!!!!」
「~~っほら、言ったわよ!!
さっさと日菜を連れてきて!!!!」
いつもみたいに偉そうに言う恵梨。
やっぱり、ムカつくなぁ。
「はっ?何言ってんの?
……………こっからだよ?」
強がっている恵梨に、微笑んだ。