なんで私が芸能人ッ!?
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「で、俺が言いたいことわかるか?」
人気のない廊下へついて聞く。
「…………私情で仕事に支障を与えるなんてふざけるな。
理由も言わずに、いえ……言ったとしても仕事に私情を挟むなんてプロ失格だ。………ですか?」
「ちげぇよっ!!
……それもあるけどな、なんで俺に何も言わねぇんだ!?
同情ってなんだよ、俺はそんな風にりまを見てたことなんて無い!!」
的外れなことをいうりまがムカついて。
「……仕事の事は、本当にごめんなさい。
でも、嘘はつかなくて良いですよ?
慣れてますから、そういうの。」
「嘘じゃねえって言ってんだろ!?」
「…………………。」
また無言になるりま。
「…………わかった。
俺を信じてくれなくても良い。
けど、俺はどうすれば良いんだ!?」
もうこれ以上はわかんねぇ
「どうすれば良いんだ!?
お前に信じてもらうにはっ………。
お前の助けになるためには!!」
でも、この言葉を言うとちょっとりまの態度が変わって
「りま………?」
「えっ………?あ…………。」
また泣き出した。
「なあ……、何があった?
俺を頼ってくれ………!!!!」
言ってくれなきゃわかんねぇって思いを込めて聞く。
すると………すべてを話してくれたりま。
「私、皆に認めてもらえることも嬉しいけど……。
一番認めてもらいたかったのは、お母さんだったみたいです。」
そうだろうな。
でも……
「じゃあ……お前は芸能界を辞めたいって思ってるってことか?」
それは芸能界を続ける理由になるべきじゃない。
「わかんないんです。………どうしたら良いのか。」
わからないのは、演技を続けたいからだろ?
「りま……、良いか。
俺はりまがどうするのか、なんて聞いてない。」
「りまがどうしたいのかを聞いてるんだ。
芸能界を辞めたいのか辞めたくないのか………りまはどうしたい?」
「わかんないです……。
でも、このままお母さんに認められなくて続ける意味がみつからない。」
そういうりまに、核心をつく。
「じゃあ、お前はなんで芸能界に入ったんだ?
母親のためだけに入った訳じゃないよな?」
「変わる……ため?」
「そうだな。けど……、他にもあるだろ?
もっと簡単で、大事な理由が。」
りまが一番やりたいことだ。
「……私、演技がしたいです。
もっといっぱい……宮崎さんみたいな、すごい役者さん達に囲まれて!!!」
その答えに自然と頬がゆるんで
「よくできました。」
そういってりまの頭に手を置いた。